Yusuke's Blog

【映画分析】2001年宇宙の旅(モノリス等について考察)

 

2001年宇宙の旅 (字幕版)

2001年宇宙の旅 (字幕版)

 

 現在プライム会員なら無料で観れる、スタンリー・キューブリック作「2001年宇宙の旅」についての映画分析です。

かなり長い文章になっています。

 

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  • 概要

 1968年にアメリカで公開されたこの映画は「時計じかけのオレンジ」や「博士の異常な愛情」で知られるSF映画の巨匠であるスタンリー・キューブリックによって制作された作品である。その後、アーサー・クラークによって小説化され、「2010年宇宙の旅」で続編が出版され、その後2冊の続編が出版された。当時の最新技術を駆使した撮影技術は見るものを圧倒し、後のSF映画に多くの影響を与えたといわれている。また、キューブリックの作品は音楽に特徴あるものが多く、この映画も全篇にわたって有名なクラシック音楽が使われており、これまでのSF映画では電子音楽が主流であったが、これ以後のSF映画ではクラシック音楽が使われるようになった。

 

  • 解説

 この映画は役者が言葉を発することが少なく、ナレーションも説明もないため非常に難解であり、意味の分からない部分が多い。それら理解できない箇所について、解説していきたい。

 

1.謎の黒い石碑について                 f:id:yusuke-tibi0930:20181026181620j:plain

 作品の要所で出てくる謎の大きな黒い石碑のようなもの。この石碑には名前がありモノリスという。合計4回、この石碑は出現し、何らかの影響を人類に与えた。それぞれのモノリスについて出現した場面から、その役割を解き明かしたい。

 

第1のモノリス

 サルが他の動物と同じように草を食べ、肉食動物を恐れていたときに第1のモノリスは突然、サルたちの前に出現した。そのサルたちは好奇心からかモノリスに触れた。そうすると一匹のサルが動物の骨を使うようになり、それを武器として縄張り争いや、狩りに使うようになった。つまり道具を使えるように進化したのである。このことから第1のモノリスは「サルを進化させるもの」であったわけである。

 

第2のモノリス

 第1のモノリス発見から400万年後、人類は猿から進化し、宇宙へ飛び出せるまでになった。そんなとき、月の裏側で強烈な磁場が発生されていることを発見する。その場所を掘り返してみると巨大なあの黒い石碑、モノリスが発見された。博士たちがそのモノリスに近づくと超音波のようなものを発した。その超音波は木星へ信号を送るものだった。第2のモノリスは人間が月へ到着するほど進化したことを伝えるためのものだった。

 

第3のモノリス

 第2のモノリスからの信号を追って、木星へやってきた人類。途中、コンピューターの反乱があったが、何とか木星に到着した人類である宇宙船の船長ボーマンは木星の衛星軌道上で巨大なモノリスに遭遇。それから様々な景色(何色もの光の空間や不思議な色の大地)を見て、真っ白い部屋に着く。そしてボーマンはその部屋の中で年老いていく姿が映し出されている。第3のモノリスは人類のいる世界とは違う空間のようなものであるようだ。

 

第4のモノリス

 第4のモノリスは第3のモノリスの中で年老いてベッドに横たわるボーマンの前に突然現れ、次のシーンではボーマンは胎児になっていた。しかしただの胎児ではなさそうだ。後のシーンで胎児となったボーマンが地球を見下ろすシーンがある。地球を見下ろす、つまり我々の世界を見下ろす者、それは神である。つまりこの胎児とは我々を支配できる存在なのである。このことから第4のモノリスは「人類を進化させるもの」である。人類を支配できる存在を作るためのものなのである。

 

4つのモノリスからわかること

 これらのモノリスからわかることは、人類を意図的に操作する者の存在である。まず第1のモノリスにより人類を他の動物より進化させた。そして人類の進歩を図るための、第2のモノリス。そして第3第4のモノリスによりさらに人類を進化させたのである。映画内の第2のモノリス発見の場面でモノリスは自然にできたものでなく、意図的に作られ、埋められたものであるといっていた。そのことから神が操作しているのではなく、人間よりはるかに知能を持った知的生命体が人間を操作していることがわかる。人類より優れた知能を持つ生命体がいて、それが人類を操っている、進化させているかもしれないというのが私の感じ取ったこの映画からのメッセージである。

 

2.ポストヒューマン~人類を超える者

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 この映画では未知の生命体の存在以外にも非常に印象に残った箇所がある。それは高度なコンピューターであるHAL9000の反乱と人間がさらに進化した胎児、スターチャイルドである。この二つは人類の未来を表しているように感じる。つまりこの二つは新たな人類にとってかわる地球の支配者なのである。コンピューターなどの人工知能による支配もしくはスターチャイルド、つまり人間を超えた能力を持つ人間、バイオテクノロジーなどによって作られた極めて知能の高い人間などによる支配である。

 この映画内では人間は人工知能に勝ったが、スターチャイルドによる支配が行われたかは謎のままで終わった。他の映画でもコンピューター、AI(人工知能)やサイボーグ、知能発達した人間による反乱はよく描かれている。全てSFの世界の話でありえないのだろうか。

 

A.I.による支配

 人工知能(AI:Artificial Intelligence)という言葉が生まれたのは、1956年のダートマス会議

 現在でも、いくつかの知的な仕事で、コンピューターは既に人間を越えた。例えば、推理、計算の速度と正確性では、コンピューターの方がはるかに優れていた。そして、コンピューターができることはだんだん広がっていく。だから、コンピューターはいつか人間頭脳を越えると期待するのは空想的な考えではない。

 2012年1月、電脳将棋「ボンクラーズ」が、日本将棋連盟会長を破って話題を集めた。欧州では1997年、IBMのコンピューター・チェス「ディープ・ブルー」が、チェスの世界チャンピオンに勝った。

 これまでもさまざまなスーパーコンピューターが作られてきたが、このままスーパーコンピューターが成長し続けると、2025年には人間の脳内にあるニューロンのシミュレーションさえ可能になる。

(グラフ)Singularity is Near -SIN Graph - Growth in Supercomputer Power

黒の実線部分が実際の計画とスーパーコンピューター名、そして白い横断歩道みたいな線がトレンドライン、つまり傾向線。現在までの勢いでトレンドラインを描くと、なんと以下のようになる。

2013年……人間の脳の機能をシミュレーションするのに必要な演算が可能に。

2025年……人間の脳の神経をシミュレーションするのに必要な演算が可能に。

 

 計算能力は極めて大きい。例えば京速コンピューターは一秒間に一京回の計算をすることができる。一方、人間はたかだか一秒間に一回。

 フューチャリストらは、特異点の後では科学技術の進歩を支配するのは人類ではなく強力な人工知能となり、従って人類の過去の傾向に基づいた変化の予測モデルは通用しなくなると考えている

 IBMの研究者の計算によると人間の脳は38ペタフロップスで記憶容量3584Tbyte。現在世界最速のスパコンは20ペタフロップス(2014年調べ)、2020年には最速のスパコンは1000ペタフロップスを超えると考えられている。

 技術的特異点(シンギュラリティ)とは、今後も指数関数的に急激にコンピュータ性能が向上していった先に発生する革命的な変化のことをいう。若干長いが、引用する。

特異点とは、われわれの生物としての思考と存在が、みずからの作りだしたテクノロジーと融合する臨界点であり、その世界は、 依然として人間的ではあっても生物としての基盤を超越している。特異点以後の世界では、人間と機械、物理的な現実とヴァーチャル・リアリティとの間には、 区別が存在しない。

そんな世界で、確かに人間的だと言えるものが残っているかと問われれば、あるひとつの性質は変わらずにあり続ける、と答えよ う。それは、人間という種は、生まれながらにして、物理的および精神的な力が及ぶ範囲を、その時々の限界を超えて広げようとするものだ、という性質だ」(注1レイ・カーツワイル『ポストヒューマン誕生』(NHK出版) P.20)

 カーツワイル氏は、人間が作りだしたコンピュータやバイオテクノロジーなどのテクノロジーによって、100兆の脳細胞の結合(シナプス)の限界を超えて、膨大な情報量を扱うことができる「人間と機械が統合された文明」が登場するというのだ。

その時期も予測している。2045年頃である。 

 現在、一般に普及しているコンピュータは、ノイマン型と呼ばれ、指定された命令を順番に処理を行う。そのため、プログラムであらかじめすべての条件をプログラム化しておかなければ、性能を最大限に発揮できない仕組みになっている。 

 一方で、脳型コンピュータは、人間の脳のように、同時に複数の処理を行い、自律して考えて、成長することができる仕組みになっている点が大きく違う。脳型コンピュータが実現すれば、コンピュータ自らがプログラミングをするように変わるだろう。

 実は、コンピュータテクノロジーのパワーが急激に上昇していることで、ノイマン型コンピュータ上で、脳型コンピュータに近い技術を部分的に実現できるようになりつつある。実際に、我々も日常的に使うようになっている。 

 孫氏は、ヤフーやグーグルが行っている、ロボットクローリング技術を例に挙げながら、データの自動収集については始まっていることを上げ、「知恵と知識の2つのうち、知識、すなわちデータの自動集積については、実はすでに始まっている」(注3)と述べている。そして、「もう片方の知恵、これも脳を遙かに上回る機能のコンピュータが出現すれば、時間の問題でしょう。そのきざしが出始めています」(注4)と触れている。

 

人類を越えるコンピュータがでてきたとき

 そして孫氏は、重要な問題提起も行っている。不気味な未来像との争いである。

「人間の脳を遙かに超える能力を持つ脳型コンピュータが生まれて、しかも知識だけではなく、知恵まで自分で勝手に獲得していくようになったら、人間よりも頭の良いものができてしまう。(略)果たしてそれを許すべきか。科学技術の進化をそこまで許したときに、人間は制御できなくなってしまうのではないか。われわれ人類は、いずれこういった議論に直面することになると思います」(注5)

 孫氏は「300年後」と断っているが、本音としてはもっと近い未来にこうしたことが起きると考えていると、私自身は捉えている。

日経産業新聞 「技術燦々」

http://www.nikkei.co.jp/topic3/sansan/eimi097111.html

 コンピュータのCPUの性能は12ヶ月で2倍強の性能になるということですが、その計算で行くと2045年にはコンピュータの性能が人間の脳を超える。

ムーアの法則Intelの共同創設者、ゴードン・ムーアが1965年に提唱した、テクノロジーの進化は 直線グラフ的ではなく指数関数的(二乗.三乗など定数を掛ける勢いで加速する)に速まる」という一点だ。現在の知識で未来を予測することは現実不可能であり 変化というものは予期できない形で激しく爆発的に加速する。その結果、研究当初思いもよらなかった事が起こりうるという。

 

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終わりに

 最初の冒頭、音楽が流れ、映像が映らないとき、DVDプレイヤーが壊れたのかと思いました笑。また、冒頭から約30分間、一切言葉が出てこなく、「この映画は今まで見てきた映画とは全然違って異常だ!」と感じました。ただ、意味がわからなくても惹き込まれるのが、キューブリックの作品ですね。